生物学的同等性試験とは何?種類・方法などをわかりやすく解説

生物学的同等性試験とは何?種類・方法などをわかりやすく解説

医薬品の開発や後発医薬品(ジェネリック医薬品)の承認において重要な位置を占める「生物学的同等性試験」。名前は聞いたことがあるものの、具体的に何を評価する試験なのか、どのように実施されるのかを理解している方は意外と少ないかもしれません。

この記事では、「生物学的同等性試験とは何か?」という基本から、目的・種類・方法・評価の流れまでを、初めて聞く方にもわかりやすく解説します。さらに、信頼できる試験の実施機関を探している方に向けて、当社メディカル・アート・ラボラトリーの取り組みもご紹介いたします。

生物学的同等性試験とは?

生物学的同等性試験(Bioequivalence Study)とは、後発医薬品(ジェネリック医薬品)と先発医薬品(オリジナル医薬品)において、薬物の体内への吸収や血中濃度の推移が統計的に同等であることを確認するための臨床試験です。

目的

生物学的同等性試験の目的は、後発医薬品が先発医薬品と同等の治療効果および安全性を持つことを示すことにあります。

後発医薬品は、基本的に先発品と同じ有効成分を含みますが、製剤技術や添加物、剤形などが異なる場合があります。そのため、薬物の吸収や体内動態に差が生じる可能性があるため、同等性を科学的に証明する必要があります。

試験の種類

生物学的同等性試験にはいくつかの種類(方法)がありますが、代表的な試験デザインは以下のとおりです。

クロスオーバー試験
最も一般的な方法で、同一の被験者が先発品と後発品の両方を服用します。1回目の投与後に一定の洗い出し期間(ウォッシュアウト期間)を設け、次にもう一方の製剤を服用します。この方法は被験者間のばらつきを抑えることができ、少ない人数で精度の高い評価が可能です。

並行群試験
被験者を2つのグループに分け、それぞれが先発医薬品または後発医薬品を服用する方法です。薬の代謝が非常に遅い場合や、クロスオーバーが困難な場合に採用されます。

空腹時・食後条件の比較
薬物の吸収は食事の影響を受けることがあるため、空腹時と食後条件の両方で試験を行うこともあります。これにより、日常の服薬状況においても同等性が保たれることを確認します。

生物学的同等性試験の方法・流れ

生物学的同等性試験の方法・流れ

ここでは、生物学的同等性試験の一般的な方法・進め方を紹介します。

試験の準備

被験者(主に健康な成人)を対象にスクリーニング検査を行い、試験参加の適格性を確認します。その後、試験計画書に基づき、投与スケジュールや採血タイミングなどを設定します。

投与と採血

決められた条件下で薬剤を服用し、一定間隔で採血を行います。採血は投与後24〜72時間の間に複数回行われ、血中薬物濃度の推移を測定します。

洗い出し期間(クロスオーバー試験時)

1回目の投与後に一定の休薬期間を設け、体内から薬物が完全に排出された後に、もう一方の薬剤を投与します。

評価方法

採血で得られたサンプルから、以下の薬物動態パラメータを算出・比較します。

  • Cmax(最大血中濃度)
  • Tmax(最大濃度に達するまでの時間)
  • AUC(血中濃度-時間曲線下面積)

これらの数値の90%信頼区間が、通常80〜125%の範囲内に入っていれば、「生物学的に同等である」と判断されます。

メディカル・アート・ラボラトリーについて

メディカル・アート・ラボラトリーについて

株式会社メディカル・アート・ラボラトリーは、1990年の設立以来30年以上にわたり、医療分野での検体検査を中心とした事業を展開してきた企業です。特に血液検査に関しては豊富な経験と実績を持ち、病院経営の支援や高度な検査サービスの提供を通じて、医療の質の向上に貢献しています。
現在は、以下のような幅広い事業を展開しています。

1. 検体検査業務

  • ブランチシステム:検査技師・検査装置・試薬の提供を通じた検体検査業務のトータルマネージメント
  • FMS受託システム:検査装置・試薬の提供による業務運営の支援

2. 治験サービス

  • 治験検体測定業務:治験検体の測定、前処理、データ管理など
  • 臨床薬理試験:生物学的同等性試験や薬物動態試験などの実施
  • 食品臨床試験:過剰摂取試験、長期安全性試験、機能性確認試験への対応
  • 被験者募集業務:「治験GO!」の運営による被験者確保の支援

検体検査から治験支援、被験者募集に至るまで、臨床試験の実施をトータルでサポートできる体制を整えており、多様なニーズに柔軟かつ迅速に対応しています。

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まとめ

今回は「生物学的同等性試験」に焦点を当て、初めて聞く方にもわかりやすく目的や種類、方法、評価の流れなどを解説しました。

生物学的同等性試験は、後発医薬品の有効性や安全性を科学的に裏付けるうえで重要な試験です。クロスオーバー試験や並行群試験などの種類(方法)があり、血中濃度の推移から薬物動態を比較・評価することで、先発医薬品と同等であるかを確認します。

メディカル・アート・ラボラトリーでは、こうした試験の実施に豊富な実績を持ち、計画から被験者募集、試験実施、データ収集まで一貫してサポートいたします。ご検討の際はぜひお気軽にお問い合わせください。

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