食品臨床試験とは何?実施方法や流れなどを解説

食品臨床試験とは何?実施方法や流れなどを解説

近年、健康維持や生活習慣病予防を目的とした機能性食品や特定保健用食品(トクホ)が注目を集めています。それらの食品が本当に健康に良い影響をもたらすのかを科学的に検証するために行われるのが食品臨床試験です。

今回の記事では、食品臨床試験の目的や実施方法、具体的な流れなどを解説します。食品臨床試験について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

食品臨床試験とは?

食品の機能性や安全性を科学的に検証するための試験で、特定の食品や成分が人体に与える影響を評価し、健康維持や疾病予防に有効かどうかを明らかにすることを目的としています。特に、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品といった健康効果をうたう食品に対しては、消費者が安心して利用できるように、科学的なデータに基づいた評価が求められます。

食品臨床試験は、医薬品の臨床試験(治験)と同様に、人を対象として行われ、試験結果は、食品の機能性を証明する根拠となり、販売時の表示や広告にも活用されます。

特定保健用食品とは?

特定保健用食品(トクホ)とは、国(消費者庁)による厳格な審査を経て、健康の維持や増進に役立つと認められた食品のことを指します。食品に含まれる成分の働きが科学的に証明され、その効果に基づいて国が認可を与えています。例えば、「コレステロールを下げる」「お腹の調子を整える」などの具体的な機能を食品パッケージに表示できる点が特徴です。

トクホの取得には、科学的根拠を示すデータ提出が必要となり、審査をクリアした製品のみがトクホとして販売できます。そのため、消費者は信頼性の高い健康食品を選ぶ指標として活用できます。現在、特定保健用食品には飲料やヨーグルト、サプリメントなど多岐にわたる商品が存在し、生活習慣病の予防や健康維持を目的とする人々に広く利用されています。

機能性表示食品とは?

機能性表示食品は、事業者の責任で食品の機能性を科学的根拠に基づいて表示できる制度です。2015年に導入され、トクホよりも審査基準が緩和されているため、より幅広い食品が機能性を表示できるようになりました。特定保健用食品のように国の審査を受けるのではなく、事業者自身が科学的な根拠を示し、消費者庁へ届け出る必要があります。

機能性の根拠は、臨床試験や既存の研究論文を用いて示すことが求められます。例えば、「記憶力を維持する」「体脂肪を減らす」といった具体的な機能を表示できますが、表示には一定のルールがあり、誇張表現や医薬品的な効能を謳うことは禁止されています。

食品臨床試験の方法・流れ

食品臨床試験の方法・流れ

食品臨床試験は、基本的に被験者(試験対象者)を募集し、特定の食品を一定期間摂取してもらい、その健康効果や影響を評価するという流れで進められます。

以下で、食品臨床試験の一般的な方法、流れを紹介します。

①試験計画の設計
まず、試験の目的に応じた計画を立案し、倫理審査委員会の承認を得ます。試験食品の安全性については、過去の食経験や文献、データベースをもとに評価し、有効性については試験管内試験や動物試験、既存の臨床試験のデータを収集・分析します。さらに、食品の摂取量や保存・加工条件が有用性に影響を及ぼさないかも慎重に検討されます。

②被験者の選定と試験デザイン
試験食品の評価を行うため、適切な被験者を選定します。組み入れ基準(選択基準)と除外基準を明確に定め、臨床試験の質を担保します。多くの場合、試験の信頼性を高めるためにプラセボ対照二重盲検試験が採用されます。これは、被験者と試験担当者の双方が、摂取する食品が試験食品かプラセボ(偽食品)かを認識できないようにする手法であり、心理的な影響を排除することで、より客観的なデータを得ることができます。

③試験食品の摂取・観察期間
被験者が一定期間、試験食品またはプラセボを摂取し、その間の体調や健康状態の変化を記録します。摂取量やタイミングは統一され、生活習慣の変化を最小限に抑えることが求められます。試験期間中は、定期的な健康チェックや血液検査が実施され、食品の影響が評価されます。

④データ収集・評価
試験期間が終了すると、被験者の健康状態や測定データを収集し、食品の機能性や安全性について詳細な分析を行います。主要評価項目を軸に、統計解析を用いて有効性を検証します。データの偏りや誤差を排除するため、統計的な多重性の調整が行われることもあります。

⑤試験結果の報告と公表
解析が完了した後、試験結果は報告書としてまとめられ、必要に応じて機能性表示食品の届出や特定保健用食品(トクホ)の申請に活用されます。

治験GO!について

株式会社メディカル・アート・ラボラトリーが運営する「治験GO!」は、治験参加者のサポートを専門とする機関です。私たちは、参加者の安全を最優先に考え、適切な情報提供とサポートを行っています。

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●参加者向けの無料相談
●治験に関する正確な情報提供とサポート

「治験の方法や流れを詳しく知りたい」といったご質問にもお答えしておりますので、治験への参加を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

メディカル・アート・ラボラトリーについて

メディカル・アート・ラボラトリーについて

当社、株式会社メディカル・アート・ラボラトリーは、1990年に設立して以来、30年以上にわたり医療分野における検体検査を中心に事業を展開してきた企業です。特に血液検査の分野で豊富な実績があり、病院や医療機関と連携しながら、高度な検査技術と精度の高いサービスを提供しています。医療現場のニーズに応じた柔軟なサポートを行うことで、病院経営の効率化や医療の質の向上に貢献しています。

事業内容
1.検体検査業務
○ブランチシステム:検査技師・検査装置・試薬の提供を通じ、検体検査業務をトータルマネージメント。
○FMS受託システム:検査装置・試薬の提供を通じ、スムーズな検体検査業務運営を支援。

2.治験サービス
○治験検体測定業務:治験検体の測定や前処理、データ管理。
○臨床薬理試験:生物学的同等試験や薬物動態試験。
○食品臨床試験:過剰摂取試験、長期安全性試験、機能性確認試験。
○被験者募集業務:「治験GO!」の運営

事業は多岐にわたり、検体検査業務、治験サポート、被験者募集支援などを展開しています。検体検査業務では、「ブランチシステム」を活用し、検査技師や検査装置、試薬の提供を通じた総合的なマネージメントを実施。また、「FMS受託システム」では、検査装置や試薬の供給を通じて、円滑な検査業務の運営を支援しています。

治験関連業務にも注力しており、「治験検体測定業務」では、生物学的同等試験や薬物動態試験をはじめ、食品臨床試験(過剰摂取試験・長期安全性試験・機能性確認試験)にも対応。加えて、被験者募集サービス「治験GO!」 を運営し、治験や臨床試験に必要な被験者の確保を支援することで、よりスムーズな試験実施を可能にしています。

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食品臨床試験について

食品臨床試験は、特定の食品が健康に与える影響を科学的に検証するための試験で、信頼性の高いデータを得るために厳密な手順で行われます。

試験は計画設計、被験者の選定、食品の摂取・観察、データ収集・評価、結果の公表という流れで進められ、プラセボ対照二重盲検試験などの手法が用いられるのが一般的です。それにより、食品の機能性や安全性を科学的に証明し、消費者にとって信頼できる情報の提供につながります。今後も健康食品市場の拡大に伴い、食品臨床試験の重要性がますます高まることが考えられます。

参考資料:食品を対象とする臨床試験の試験設計と解析方法 | 日本農芸化学会

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